性感染症のリスクはパートナーの数に比例して高くなります

性病予防法が存在した当時、「性病」と表現されていた病気は現在、「性感染症」(STD:Sexually Transmietted Disease)となっており、梅毒、淋菌、性器クラミジア感染症、AIDS、トリコモナス感染症、性器カンジダ症などが存在しています。

なかでも若者の間に患者数が多い淋菌やクラミジアは、性器だけでなく体のさまざまな部位に感染します。なかでも増えている事例が、オーラルセックスで喉にクラミジアが感染したことに気付かず、更なる行為で別の男性の尿道に感染させて、どんどん感染を拡大させてしまうことです。

淋菌やクラミジアが性器に感染した場合、男性は一定の潜伏期間を経て排尿時の痛み、性器の先から膿が出るなど、異常を自覚できる症状が現れます。しかし、症状が少ない女性は淋菌やクラミジアへの感染が分からず、ある日突然、腹膜炎を起こし、手術する際に淋菌への感染がわかるケースもあるくらいです。

クラミジアの場合は採血による検査である程度、感染の有無が分かりますが、最終的には婦人科で医師による診察を受ける必要があります。淋菌の場合、血液検査ではなく、婦人科で膣内から分泌液を採取する必要があるので、恥ずかしくて医療機関の受診をためらう人もいます。

淋菌とクラミジアはかつては抗生物質で確実に治る病気でしたが、最近は抗生物質が聞かない耐性菌が相次いで確認されており、注意が必要です。

性器や肛門周辺にブツブツができる尖形コンジロームは発生部位に接触するだけで感染します。コンドームを使用しても、覆われていない部分に尖形コンジロームがあれば感染リスクはあり、セックスはしなくても裸で抱き合っているだけでも移る可能性がある性感染症です。

戦前から広く認識されている梅毒は、感染後約三週で初期硬結、三ヶ月で発疹を含めた多様な症状が現れますが、血液を調べない限りそれが梅毒であるかどうか診断する方法はありません。尖形コンジロームと同様に体の接触で感染するので、ペニスの挿入が伴わないセックスや女性同性愛者でも感染リスクがあります。

性感染症のリスクはパートナーの数に比例して高くなります。これはコンドームを含めた予防法に限界があるため、相手が感染している可能性があれば、性感染症のリスクは高まるという理屈です。しかし、他人との間でパートナー数を比較して安全度を確かめようというのは意味がありません。それはm個人によって予防行動の確実さ、コンドーム使用の上手・下手などの要因が感染リスクの度合いに影響を及ぼすからです。