内臓脂肪型肥満に複数の生活習慣病を合併したメタボリック症候群
肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症などの疾患は加齢や遺伝的要因以外に過食、運動不足、過度の飲酒、ストレス、喫煙など生活習慣がその発症や進行に大きく関与していることがわかり、これらの疾患を生活習慣病と呼ぶようになりました。
かつてこれらの疾患は成人病と呼ばれ、自分の責任ではなく、加齢によって病気になると考えられていましたが、個人の生活習慣が原因であることがわかり生活習慣病という表現にあらためられました。生活習慣病は生活様式の欧米化や運動不足により急速に増加しており、過食、特に脂肪の取りすぎと運動不足による肥満が大きな原因と考えられています。
肥満には内臓に脂肪が蓄積しておなかの周りが太る上半身型肥満(内臓脂肪型肥満)とお尻の周りに皮下脂肪がたまる下半身型肥満があります。皮下脂肪は代謝に影響を与えませんが内臓脂肪は糖や脂肪の代謝に悪い影響を与え、生活習慣病の原因であることがわかってきました。ウエストが男性では85cm以上、女性では90cm以上あれば上半身肥満であり要注意です。
内臓脂肪型肥満に複数の生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症)を合併した状態をメタボリック症候群といいます。メタボリックとは代謝を意味し、糖、脂肪の代謝が障害された病態であり、放置するとドミノ倒しのように糖尿病、高血圧、高脂血症を次々と発症します。メタボリック症候群は脳卒中や心筋梗塞を引き起こす可能性が非常に高いため、高齢化社会を迎え、最近特に注目されています。
カロリーの取りすぎや運動不足など不適切な生活習慣が原因ですので、治療は食生活の見直しと適度な運動が基本になります。バランスのよい食事を心がけ、脂肪、塩分の取りすぎに注意することです。適度な運動は脂肪を減らし、血液循環を良くし、ストレスを発散させ肥満の予防になります。
生活習慣病は症状が現れないまま進行するケースが多く、健康診断などを受け早期に発見することが大切です。基準値より少し高めであっても異常値が複数である場合はメタボリック症候群の可能性があり医療機関を受診してください。
生活習慣病は自分の責任において生活習慣を見直し、あらためることにより病気を予防し、症状を改善することができます。生活習慣をどう変えていくべきか医師とよく相談して、改善に取り組むことが大切です。